AI × Education Project

学長AIシステム

マルチエージェントアーキテクチャとTTFB最適化機構を備えた、超低遅延・高機能な対話型アバターシステム

Multi-AgentOpenAI Agent SDKStyle-Bert-VITS2Ditto TalkingHeadRAG
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01. Background & Challenge

複雑な対話意図と応答遅延のジレンマ

大学の象徴である「学長」のペルソナを持つAIアシスタントには、単なる雑談だけでなく、「学内施設の案内」「学生の進路相談」「外部情報の調査」といった多様な専門タスクをこなすことが求められました。

しかし、単一のLLMプロンプトですべてを網羅しようとすると、回答の精度低下やキャラクターのブレが生じます。さらに、RAG(検索拡張生成)や外部APIツールを利用するタスクでは生成開始までに時間がかかり、音声対話において致命的な「不自然な沈黙」が発生してしまうという大きな課題がありました。

プロンプト肥大化の限界

多岐にわたるタスクとペルソナ設定を1つのシステムプロンプトに詰め込むことで生じる、LLMの推論性能の低下。

音声対話特有のレイテンシ

テキストチャットとは異なり、ツール呼び出し中の数秒の待ち時間が、対話体験を著しく損ねる問題。

02. Core Architecture

マルチエージェント × 非同期オーケストレーション

これらの課題を根本から解決するため、OpenAIのAgent機能を用いたマルチエージェント構造と、応答速度をごまかす高度な非同期オーケストレーション機構を独自設計しました。

技術基盤
LLMには高速な gpt-4o-mini を採用し、FastAPIベースのバックエンドで各モジュールを並行処理するストリーミングパイプラインを構築しています。

Handoff(委譲)による専門エージェント群

対話の入り口となる GeneralConversationAgent(ルーター)がユーザーの意図を解釈し、必要に応じて専門エージェントに処理を委譲(Handoff)します。

  • PresidentAgent: 学長のプロフィールや思想に関する深い質問
  • LifePlanningAgent: 学生の進路相談や人生設計
  • ResearchAgent: 外部情報の検索と調査
  • LocationAgent / EventGreetingAgent: 施設案内や行事の挨拶作成
tools時間取得天気取得Web検索…親エージェントGeneralConversationAgent設定されたツールの利用挨拶などタスクの委譲(handoff)ドメインエージェント検索エージェント地理エージェント計画エージェント応答テキスト

Handoff(タスク委譲)アーキテクチャ

TTFBを極限まで削る「Response Orchestrator」

音声対話における「沈黙」を無くすため、バックエンドの ResponseOrchestrator が以下の3つのタスクを非同期で並行スタートさせます。

1. LLMDecisionClassifier: RAG(学内情報)か、対話かを超高速に判定

2. Filler LLM: 「ええと」「そうですね」などのつなぎ言葉(フィラー)を生成しバッファリング

3. Main Agent: ルーター経由での本応答の生成開始

メイン応答の最初の1トークン(TTFB)がタイムアウト(例: 1.0秒)を超えた場合、即座に生成済みのフィラーを音声合成に流し込みます。ユーザーが「ええと…」という音声を聞いている間に裏で重いタスク(ツール呼び出し等)を完了させることで、遅延を完全に隠蔽しました。

入力Response Orchestrator親エージェントStream GeneratorフィラーLLM【つなぎ言葉】【Queue】バッファStream Selector【制御・判定】Timeout(0.8s)Stream 出力応答テキスト

Response Orchestrator — TTFB最適化アーキテクチャ

03. Technologies & Impact

音声と映像が連動するリアルタイムアバター

本システムは、生成されたテキストから単に音声を出すだけでなく、自然な体験を提供するための周辺技術も統合しています。

Style-Bert-VITS2
学長本人の声を学習させた音響モデルにより、文脈に応じた自然な抑揚や間(ポーズ)を持つ音声を高速に合成。
Unreal Engine 5 (UE5)
UE5で構築した高品質なアバターを音声ストリームと連動させてリアルタイムに制御し、システムのアバター画面へと投影。よりリアルで自然な対話体験を実現しています。

マルチエージェント化による「高度な知能」、オーケストレータによる「超低遅延なレスポンス」、そしてUE5による「リアルな映像表現」を組み合わせることで、これまでにない実用的なAI学長アバターシステムが完成しました。

Project Details

Category
PD III / AI Assistant System
Role
Lead AI Engineer / System Architect
Duration
約6ヶ月 (2025年11月〜)
Status
継続開発・運用