
講義の背景
2025年7月、昌平高校にて2日間にわたる「データサイエンスCamp」が開催され、その一環として「生成AI応用」の講義・ワークショップを担当しました。 このCampは、AIやデータサイエンスへの関心を高め、将来の進路選択に役立ててもらうことを目的としています。
事前アンケートでは、「データサイエンス」や「AI」に対して、「難しそう」「怖い」といったイメージを持つ生徒も少なくありませんでした。 文系の生徒からは「自分には関係ないのではないか」という不安の声もあり、技術的な解説だけでなく、「誰でも創造的に使える」ことを体感できる内容が求められていました。
ゴール設定
本講義(第8回講座:生成AI応用)では、単なるツールの紹介にとどまらず、以下の3点を持ち帰ってもらうことをゴールに設定しました。
70分の構成
講義時間は約70分。座学は最小限に留め、実際に手を動かすワークショップの時間を長めに確保しました。 冒頭のアイスブレイクで緊張をほぐし、スムーズに制作活動へ移行できる構成にしています。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 0–10 分 | イントロダクション・アイスブレイク(曲当てクイズ) |
| 10–15 分 | 講義:生成AIとマルチモーダルAIの仕組み解説 |
| 15–55 分 | 演習:生成AIで4コマ漫画を作ってみよう |
| 55–65 分 | 講義:生成AIの問題点(偽情報・著作権)と向き合い方 |
| 65–70 分 | まとめ・振り返り |
座学: AIの基本
ワークショップに入る前に、まずは前提知識として「AIとは何か」を解説しました。 世の中で活躍しているAIを「識別系AI(データを見て判断するAI)」と「生成系AI(新しいものを作り出すAI)」に分類し、生成系AIが得意とすること・苦手なことを整理しました。

さらに、テキストだけでなく画像や音声も組み合わせて理解・生成する「マルチモーダルAI」の仕組みについても触れ、プロンプトの出し方次第で思い通りの表現が可能になることを紹介しました。
ワークショップ: 4コマ漫画
今回のメインコンテンツは、「生成AIを使って4コマ漫画を作る」ワークショップです。 ストーリー構成から画像生成までをAIと協働で行い、短時間で作品を完成させます。

Step 1: サブテーマの決定
まずは漫画のテーマを決めます。大枠のテーマに加え、各自が興味のある「サブテーマ」を設定することで、 生徒一人ひとりのオリジナリティが出せるようにしました。
Step 2: あらすじ生成(テキスト生成AI)
決定したテーマを元に、テキスト生成AIに4コマ漫画の「起承転結」を考えてもらいます。 ここで「もっと面白くして」「オチを変えて」といったプロンプトによる指示出し(壁打ち)を体験します。
Step 3: 画像生成プロンプトの設計
生成されたあらすじを元に、今度は画像生成AIへの指示文(プロンプト)を作成します。 「誰が」「どこで」「何をしているか」を具体的に言語化する難しさと面白さを学びます。
Step 4: 画像生成と仕上げ
実際に画像を生成し、PowerPoint等のスライドに画像を配置して4コマ漫画を完成させます。 最後に周囲と作品を見せ合い、発表を行いました。
高校生の反応
2日目の事後アンケートでは、多くの前向きなフィードバックが得られました。 特に、実際に手を動かしたことでイメージが変化した生徒が多かったようです。
楽しかった・親しみ
AIへの認識の変化
講義形式について
講義の最後には、「偽情報(フェイクニュース)」や「著作権」についても触れました。 スライドで具体的な事例を示したことで、 「便利だが恐ろしい側面もある」というバランスの取れた理解に繋がったようです。

講師の気づき
アンケート結果から、「理系・文系」という枠組みを超えて、AIという技術が 「自分の思考を形にするツール」として受け入れられた手応えを感じました。
一方で、「PC操作の時間をもっと増やしてほしい」という要望もありました。 ツールに慣れるまでの時間には個人差があるため、今後はTA(ティーチングアシスタント)の サポート体制や、進度調整の工夫がより重要になると感じました。

次のステップ
今回のCampでの経験を活かし、さらにブラッシュアップした活動を続けていきます。
今後も、次世代を担う高校生たちが、AIという強力な技術を「正しく、創造的に」 使いこなせるよう、現場での対話を大切にしていきたいと思います。